あきゅらいず

Vol.39 人とキノコの関係

湯 忠立先生

2014/10/ 1

キノコは子嚢菌(しのうきん)の一部や担子菌という菌類です。
古木に生えている様子は、確かに「木の子供」のようで、植物なのかと思ってしまいますがね。
実は現代の生物学では、動物類・植物類と並んで菌類という大きなグループを考えるようになってきました。
 
キノコや他の菌類には、枯れた植物や動物の死体などを分解して、新しい生命を生み出す物質に還元する働きがあります。
菌類の働きによって大自然は新陳代謝を繰り返しているといえるでしょう。

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中国では古来、数百年あるいはそれ以上の時間をかけて、人間とキノコの関係を観察し続け、薬用や食用のキノコの体系を作ってきました。
理由は分からないが、このキノコにはこうした作用があるといったことを、長い経験の積み重ねの中から割り出してきたのです。
その中の一部分は現代の医学や薬学の研究で実証されています。 
 
キノコに共通しているのは、人体の免疫システムに影響を与えることです。
少し専門的になりますが、体内に異物として入ってきたウイルスなどの抗原は体内の抗体によって無害なものにされます。

キノコはその免疫システムに影響を与えて、免疫力を高めたり、反対に免疫機能の異常を引き起こしたりします。  
  
キノコの特徴をうまく利用すると、冬(とう)虫(ちゅう)夏草(かそう)や霊(れい)芝(し)といった強力な漢方薬にもなりますが、ひとつ間違うと命取りにもなりかねません。

食用の場合は、体質によっては気がつかずに食べていたキノコがアレルギーの原因だったということもあるので注意が必要です。
 
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。