あきゅらいず

Vol.70 芒種(ぼうしゅ)

湯 忠立先生

2015/06/ 3

毎年6月6日頃の芒種(ぼうしゅ)は、二十四節気の中でもあまり馴染みがないようですね。
次の夏至までの15日間を指すこともありますが、農家にとってはとても忙しい時期に当たります。
 
「芒」とは稲や麦などの植物の先にある棘のような部分のことで、「芒種」はこうした植物の種まきに適した時期という意味です。

また七十二候でいうと、カマキリが生まれ、モズが鳴き始め、梅の実が黄色くなっていく時期といわれています。
新しい生命の誕生や成長が感じられる頃といえます。
 
この時季は気温も上昇し「暑邪」に侵されやすくなります。
中医学で「暑易入心」といわれるように、心臓の保養が大切なときです。

気持ちを落ち着かせて心臓に負担がかからないように心掛けましょう。
体内では新陳代謝が活発になり、汗もかきやすくなるので、津液(体内の正常な水分)が不足しがちです。

薬膳では「清熱・生津」の食材を多く摂るようにします。
苦瓜やキュウリ、トマト、セロリ、アスパラガスなどは体内の熱を取り除き、津液の保持に役立つ食材です。
またニンニク、タマネギ、ニラ、ネギなど殺菌作用のある野菜も、この時季の病気予防に適しています。

salada.jpg

あっさりしたお粥も消化しやすく、水分補給もできますので、できるだけ食べると良いですね。

※記事の無断転用は禁じます。

この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。