あきゅらいず

Vol.76 薬食同源

湯 忠立先生

2015/07/15

食べ物と薬の違いって何でしょう?
 
実は、中国医学では漢方薬も普段の食べ物も同じように考えています。
実際に、古代中国では薬として使用されていて、現在は食物として食べられているものも数多くあります。

例えば、山芋、大根、ゴボウ、クルミ、シソなどは、古代中国では薬として使われていました。
現在、薬だと思って食べている人はいませんね。

また、中国で漢方薬に指定されているものが、日本では普通の食品として売られているものもあります。

例えば決(けつ)明子(めいし)(えびすぐさの実)や車前子(しゃぜんし)(おおばこの実)は、中国では立派な漢方薬です。
でも、日本ではダイエット茶、ダイエット食品に必ずといっていいほど使われています。 薬という感覚はないでしょうね。

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漢方薬と普通の食べものとの大きな違いは、薬効の強弱にあるといえます。

例えば「付子(ぶす)(猛毒のトリカブトの根)」は重症の強心剤として使われます。普通の人がこれを食べたらどうなるかはお分かりですね。

食べ物も薬も、私たちの健康に役立つものとして、どんなふうに取り入れたらよいのかを考えてきたのが中国医学であり、薬膳であるといえます。

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。