あきゅらいず

Vol.126機能と構造

湯 忠立先生

2016/07/20

少し前に恐竜展で復元された全身の骨格が展示されていました。
さすがに大きくて、こんなものが地上を闊歩していたのかと、驚きでした。・・・でも何か違う。

確かに空間的には存在感があるのですが、そこに生きた姿は感じらません。
それが生きていたとき、どんな暮らしをしていたかが伝わってこないのです。

そこには生きている時間がない。化石はあくまでも化石なのです。

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私たち人間も、動いてこそ生きた時間が持てる。
身体という空間的なものだけでは、人間とは言えません。
時の流れの中で、動いているからこそ、人間は人間であるといえるのです。

じっと机に向かっている時、あるいは寝ている時でも、私たちの体の中は決して停止しているわけではありません。
意識するしないに関わらず、心臓は全身に血液を送り続け、肺では常に新しい酸素を取り入れています。

そしてそれらは体内のそれぞれの組織・器官・細胞が有機的に結びつきながら、私たちの体を維持し、活性化させているのです。
体の中の全ての組織・器官・細胞が、互いに支え合い、影響を与え合いながら活動している。それが生きているということです。
 
物質的な構造と、その機能としての活動。もちろん物質的な基礎がなければ活動することはできません。
しかし物質だけあってもそこに活動がなければ、それは本当の意味で人間とは言えません。その活動の仕方に注目して人間を見る。
中国医学では、人間の身体をそんな風にとらえています。これが"整体観念"の考え方の一つです。

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。