あきゅらいず

Vol.129顔は内臓の窓

湯 忠立先生

2016/08/10

私たちの体の中が今どうなっているのか、目で見ることはできませんね。

胸に手を当てれば心臓の鼓動は分かりますし、胸いっぱい息を吸い込めば肺が膨らんでいるのが分かります。
体の中で内臓が絶え間なく活動していることは確かなのですが、それがどんな状態にあるのかを見ることはできません。

でも中国医学では、顔のそれぞれの部位を見ることによって、内臓がどんな状態か分かるというのです。
これは人体は五臓を中心とした五つの系統に分けられるという五行学説に基づいています。

その中で五臓はそれぞれ肝=目、心=舌、脾=口、肺=鼻、腎=耳に対応しているとされているのです。
 
こうした分類は長い臨床経験の積み重ねから決められたもので、例えば多くの眼病は肝を治療すると良い効果が得られるといった実績から導き出されたものです。

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そして逆に、目、舌、口、鼻、耳を見れば、それに対応する肝、心、脾、肺、腎の今の状態が分かるのです。

例えば、舌が赤く潤っていれば心の機能は正常であり、耳鳴りや聴力の衰えは腎の機能失調が考えられます。

ですから、目、舌、口、鼻、耳がいつもと違うなと感じたら、それに対応する内臓の異常に注意しなければなりません。
お腹を開いてみなくても内臓の状態が分かる、正に顔は内臓が外に通じている窓といえますね。
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。