あきゅらいず

Vol.243 免疫力7

湯 忠立先生

2018/11/28

前回、その人その人によって何を補えば良いかが異なるといいましたが、具体例を挙げて考えてみましょう。
 
例えば貧血ですが、現代医学では血液中の赤血球やヘモグロビンが少なくなった状態と説明しています。そして食生活を改善して鉄分を補給するという治療法が選択されます。中国医学でも貧血は血が不足した「血虚(けっきょ)」という状態だと捉えていますが、先ず何故「血虚」になったかを考えます。

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血が不足する原因として
1.血の材料となるもの(鉄分など)の摂取が不足している。
2.鉄分などは摂取していても、消化吸収されていない。
3.血そのものは不足していなくても、その循環が悪くなっている。
といったことが挙げられます。この中で2と3の場合は、鉄分自体が不足しているわけではないので、さらに鉄分を補給する必要がないことは明白です。2のケースでは消化吸収の働きが弱っていることが原因ですから、第一にその改善を計らなければなりません。3の場合では、血行を促進させることが貧血の解消に繋がります。
 
こうして見ると、ひと口に「貧血」といっても、その状況によって違った対応が必要なことがご理解いただけるでしょう。
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。