あきゅらいず

日本のものづくり、昭和の技術力にあっぱれ!

内藤

2016/07/28

みなさま、ご無沙汰しております。

不安定な気候が続いておりますが、すこやかにお過ごしでしょうか。

5月12日以来となります「ものづくりの現場から」現場監督の内藤です。


今回は、商品の開発や品質管理を担当しているチームとして

あきゅらいずの野口英世こと、商品チームメンバーの篠塚と

あきゅらいずの香りのブランド「WAZUKA」のブランドマネージャーの牧野(まっきー)と共に

精油(エッセンシャルオイル)の抽出現場へ行き、

実際に一連の抽出作業を体験してきたお話です。


行った先は、WAZUKAの「おやすみバスタイム」で使用されている

『芳樟(ほうしょう)』の精油(成分名:クスノキ葉油)を抽出・販売されている

鹿児島県指宿にある開聞山麓香料園さんです。


雨の開聞岳.JPG

↑鹿児島県の薩摩半島の南端に位置し、見事な円錐形の山容から別名「薩摩富士」と呼ばれ、「日本百名山」にも数えられています。

 

実は、画像を見て理解していただけるかと思いますが、あいにくの天候でした。

みなさまもご記憶に新しいかと思います。

台風1号としては統計史上初の猛烈な勢力となったあの台風が接近してきた時に

鹿児島空港に着陸できない場合には神戸空港か長崎空港への着陸という

条件運航で東京から鹿児島へ飛びました。

神戸空港に着陸なんかしないで!と搭乗している間ドキドキとしましたが、

何とか鹿児島空港に無事に到着し、安堵した私たち。


レンタカーで開聞山麓香料園のある指宿に向かったのですが

ハイスピードのワイパーでも前方は見えない程の豪雨。

ナビの推奨ルートを信じて通った指宿スカイラインは豪雨に加えて、

10メートル先がほぼ見えないくらいの霧だし、

私たちの乗った車以外1台たりとも走っていませんでした。

後で知ったのですが、天候の悪い時、しかも台風の中、

地元の人は誰もそのルートは走らないという危険なルートだったらしいです。

雨水のたまったクネクネ道路を走る度、豪雨がフロントガラスに打ちつける度

隣に座っていたまっきーの悲鳴が、

いつの間にか「アミューズメントパークみたい!」と笑い声に変わっていました。

現場監督は車の運転もものづくりと同様、安全・安心でやってのけますよ(笑)


前置きが長くなりましたが、体験出張の大変さはこれでは終わりませんでした。


到着後、香料園さんのカフェにてランチをいただき、いよいよ体験スタート。


【抽出作業の第一工程:伐採された芳樟の木から葉を採り、5Kgの束を作ること】

前回の伐採より3年経過した芳樟の木から枝を伐採することから始まりますが、

東京ドーム6個分の敷地には5種類のクスノキ(芳樟もクスノキの1種)があり、

「種を植えても1年で半分くらいが先祖がえりしたり、

3年で20%くらいしか芳樟にならない」と伺いました。

伐採した木が芳樟であるのかをこの道60年の職人が

葉の香りを確認して見極めます。

トライしてみましたが、私には見極められませんでした。

香りの仕事を続けているから、80歳を超えた今でも頭脳明晰でお元気だと

一緒に働かれている方々がおっしゃっていました。

50歳を過ぎてから香りの仕事に携わった私もまだまだ元気で働けるかしら??


選ばれた枝から丁寧に葉をちぎっていくのですが、

簡単そうで意外と時間がかかり大変な作業でした。

休まずに1時間作業を続けても、目の前の芳樟の枝の山は減りません。

なのに、都会っ子のまっきーは、虫が出てくる度に奇声を発して、手が止まってしまいます。

その横で、優しく微笑む、、、いや、あきれる副園長。

コンテナーに入れた葉を上手に束にしていきますが、

計測しなくても1束ほぼ5Kgに束ねる副園長はプロでした。


山積みの枝.JPG

【抽出作業の第二工程:抽出機器に芳樟の葉を詰め込むこと】

2日目。台風は去ってしまったのに、雨の激しさは納まりませんでした。

午前中は葉をちぎる作業を繰り返すのですが、

ご近所のお元気なシルバーさんや見学に訪れた関連会社の方々がヘルプしてくださり、

枝の山がほぼなくなりました。

いよいよ戦前から使っていた抽出機器とご対面です。

約70年も使っている機器なのに、未だに問題なく使えるそうです。

しかも1度も壊れたことがないというから驚きました。

日本のものづくりって本当にスゴイ!!

昭和の技術屋さんってあっぱれだ!!と感じた瞬間でした。

工場見学が趣味の私にとって、これだけの歴史がある現場を見られたのは

この上ない幸せでした。一気にテンションMAX。


抽出機器.JPG

人の身長より高い抽出機器の釜にハシゴをかけて

束にした芳樟の葉を1束、2束と釜の中に投入するのですが、

私もトライしたい!と思ったものの、手際のよい男性2名がササッとハシゴに上り

作業を始めてしまいました。


私たちは釜の下で束にするために使った紐を集めて1本、2本とカウントしたり

落ちた葉を集めて下から投げ入れる作業をお手伝いしました。

最後は釜の中に無駄な空間を作らず、葉を均等にするために

男性1名が釜の中に入り、足踏みしながら均していきます。


集めた紐は52本。つまり、約260Kgの葉が投入された計算になります。


男性釜の中.JPG

【抽出作業の第三工程:水蒸気蒸留を始めること】

重くて大きい蓋を閉めて、蒸留開始です。

釜に満たした水の温度が上がってから約40分後に釜の下から。。。

蓋の横から蒸気が上がり、工場の中が芳樟の優しい香りに包まれます。

外の雨の音と香り。

釜の向こうには、緑の木々たち。

絵になるなぁ~なんて、ひとり感慨深くなっておりました。


湯気.jpg

【抽出作業の第四工程:精油と芳香蒸留水を分離すること】

工場が湯気で温かくなった頃、ザーザーと水道のような音が聞こえてきました。

大きなスプーンを使って芳樟の精油(エッセンシャルオイル)を採っていきます。

コンテナーの中にどんどんと溜まっていく芳香蒸留水(アロマウォーター)は

見学者の方々が自由に持ち帰りができるようになっていました。

何に使うのか聞いてみると、お風呂やトイレ、ヘアスプレーと答えてくださいました。

確かにまろやかな香りがするお水、アロマウォーターでした。

採れた精油は容器に集め、クリーンルームにある分液漏斗に移して、放置します。


分液漏斗.JPG
↑画像の奥(窓)からクリーンルームをのぞき込む男性3名。あ~英世博士発見!
  2層に分離している上層が精油(エッセンシャルオイル)、下層が芳香蒸留水(アロマウォーター)


【抽出作業の第五工程:抽出が終わった葉を釜から取り出すこと】

これは迫力のある作業でした。

蓋を開け、釜を斜めに傾け、まずは中のお湯を一気に流し出します。

見学者から歓声が上がります。

もちろん、初めて目にする光景に私たちも「わぉ~」と感動の声を上げていました。

お湯が無くなったら、変色した葉を釜から取り出します。

重みのある葉を取り出すのは、かなりのパワーが必要で、

我がチームの男性、英世博士もトライしますが、、、

結局手慣れた副園長が簡単に作業を進めます。さすが!


取り出し.jpg

【抽出作業の第六工程:取り出した葉を外の畑に蒔き、腐葉土にすること】

精油を抽出した後の葉は、芳樟の木を育てるための腐葉土となります。

循環されています。無駄など一切ない一連の作業。

英世博士とまっきーがここで頑張りました。

ひでよ2.jpg

↑研究開発は得意な博士ですが、力仕事は苦手のようです。疲れたぁ~と休んでいました(笑)

まっきー2.jpg
↑博士よりは頼りになる我がブランドマネージャーまっきー☆
葉っぱとりではパワーを発揮できなかったので、この作業では長靴持参でガンバってました。

【抽出作業の最終工程:精油の分析としばらく寝かせること】

規格にあっているかを測定して確認します。

天然精油か合成精油かは、測定すると数値が物語るそうです。

出来たての精油は少し青臭い香りがしますが、翌日はほんの少しだけ香りが変わります。

出来たての方がフレッシュでいいのでは?という思い込みをあっさり否定されてしまいました。

3~4日毎に容器の蓋を開けてガス抜きを行い、良い香りがするように手間をかけます。

私たちの手元に届くステキな香りがする芳樟の精油はしばらく寝かせたものだったようです。

ワインみたい!


自分たちで抽出した芳樟の精油(エッセンシャルオイル)を

あきゅらいずの商品に使いたい!使うぞ!!と強く心に決めて

開聞山麓香料園を後にしました。


メンバー勢ぞろい.jpg
↑副園長を囲んで、最後に空になった昭和の抽出釜をバックに記念撮影。

丸2日間の雨の中での体験作業でしたが、感動がたくさんあり、よい勉強になりました。

現在予約販売中(8/1販売開始)のWAZUKA「香るスキンケアパウダー」にも配合されています。

同じく配合されている「屋久島地杉の幹の精油」も

屋久島のグループ会社『やわら香』にて同じように抽出されています。


原料の確保から精油の抽出まで、すべての工程において、知らない、分からないという状況はなく、

この目でしっかりと確認している私たちの精油は「ものづくりの現場から」の原点だと改めて感じました。

現場を知り、心が熱くなる生産者の想いを知り、私たちあきゅらいずの企画の想いを乗せる。

決して妥協はしません。

これがあきゅらいずのものづくりです。

 

この記事の投稿者

内藤

商品チーム

あきゅの美養品の中で一番のお気に入りは「優すくらぶ」季節や気分に合わせて香りを使い分けています。/趣味は「工場見学」。まだまだのびしろがあると信じて止まない50代。