6月29日、私たち、ものづくりチームメンバー全員が万歳をした記念日となりました。
それは、あきゅらいずの物流倉庫に「香風(しゃんぷー)」が揃ったこと、
そして、梅雨明けをし、夏本番到来のジャストタイミングで間に合い、
お客様にお届けできることが確定したからです。
今回のトラブルの発端は2月。
よもぎとハッカの精油がそろそろ届く予定日が近づいているのに、
ネパールからは何の連絡もない。
「あ~あ、いつも通りやだなぁ~音沙汰なしは…」
「でも、年末に2月には抽出するって言ってたし…」
「連絡なしは、問題なしってことね」
とホンマにのんきでした。基本、私はいらち(関西弁:イライラしがちで、我慢ができず、すぐにイライラする性格のこと)なのですが、この対応が5年間継続しているので完全にマヒしていました。
が、トラブルは入荷予定日直前に突然やってきました。
「精油の抽出が遅れていて、少しだけ待ってて」とネパールからメールが届いたのです。
「どうして?」
「少しって、いつまで待てばいいの?」
「冬が厳しくてね、よもぎが採れなかったから。少しだよ。」と。
精油が届かないということは、分析ができないし、製造が遅れる。
すると、販売も遅れることになるし、もしかしたら機会損失となり販売中止になるかも!?
自社に残留農薬や菌検査ができる機器や製造工場をもたないあきゅらいずでは、分析や製造をお取引先企業に委託しています。
つまり、自分たちでスケジュールを自由に動かすことができないのです。
このたったひとつのトラブルが大きなトラブルとなる予兆でした。
このタイミングで、関係各所に状況説明を行い、今後について協議しました。
「ネパールの精油でなければ、『香風』ではないから販売を中止しよう」
「待っているお客様を裏切ることはできないでしょう」
「精油の発注量を減らしたら、間に合うのか」などなどいろんな意見の中
「販売中止」「販売延期」「販売数量の変更」を視野に入れて、緊急対応が始まりました。
が、この時スタッフ誰もが「私たちの選択は『香風』を販売する!今年もお客様にお届けする!」と考えていたのです。
まずは、「すふふ18号」や「幕の内がわ新聞4月号」にて発売日をお知らせしていたため
現状報告をするチラシの準備からスタートしました。
ものづくりチームの現場監督である私は、お客様はもちろんのことスタッフや取引先の方々にまで迷惑をかけて、「もっと前から動いておけば、こんな事態にならなかったのに…何やってんだ」と自分の心にムチを打ち、発奮し、火が付きました。
ネパールでよもぎの精油を抽出している他の会社さんにコンタクトを取ったり、
インド産のよもぎの精油を取り扱っている会社さんに相談したり、
モロッコ産のよもぎの精油なら販売できるという会社さんに連絡したり、
必死でした。
よもぎの精油であれば、何でもいいということではありません。
大自然の中で育ったよもぎとハッカを使って、汗の嫌なにおいにも負けない
夏向けのスッキリとしたシャンプーを作りたい!という開発当時の想いやこだわりは
この状況の中でも捨てたくなかった。
そして、このこだわりの前には、お客様に気持ちよく使っていただくために
品質基準も充たしていないと採用することはできないと思っていたので、
その手配も同時進行で進めていました。
現状報告のチラシをご覧になったお客様から、たくさんの嬉しいお声をいただきました。
中には、私の名前指名で「内藤さん、ガンバレ!!」というものや
「なんか一言伝えたくて、あえて定期便メールに返信という暴挙に出ました」と
応援メッセージを送ってくださるものなど。
このお声があれば、どんなトラブルでも乗り越えられると思いました。
精油の納品期日も確定できないまま、お取引先に連絡し、自分の口から頼み込み、
状況を理解いただき、製造のスケジュールの再調整が叶いました。
いい流れだと思っていたのもつかの間。
分析用として海外から届いた先行サンプルの容器から漏れが見つかり、分析の一部が出来なくなったのです。精油は国内で調達できず、海外取引をしていました。そのため、ひとつひとつに時間を要するのに、また振り出しに戻りました。
やっと先行サンプルでの必要な全ての分析に合格が出て安心していたら、次は製造用の本製品が空港の税関で止まってしまったのです。書類の再提出などで限られた時間がどんどん過ぎていきました。
こうしている内に、再調整したスケジュールを再度調整しなければならないことになりました。提示されたスケジュールに間に合わなければ、製造は秋になると…。
夏限定のスッキリシャンプーと言っているのに、秋以降に発売!?そんなことはできないと加速するためにギアを入れなおしました。
結局、複数の選択肢を進めながら、最終的に間に合ったのは、
【インド産のよもぎの精油】でした。
私たちの不安な心を見透かしていたのか、届いた香りは、ネパールのよもぎとは違った
アーユルヴェーダの国・インドの香りでした。バランスの崩れた私の心を整えるかのような香り。ネパールのハッカと混ぜて、森たまラボ(あきゅらいずの研究室:森のたまごラボラトリー)で試作した「香風2018」は、このようなドタバタ劇を知ってか知らずか心地よい、まさしく今年の香りのシャンプーとなっていました。
嵐のように押し寄せるトラブルを諦めることなく、ひとつずつ乗り越えていき、かなり遅れてしまいましたが、今ブログでここ数ヶ月を振り返りながら、今年もお届けできる喜びをひしひしと感じています。
これは、2015年に「香風」の原料(よもぎ)の郷を見に行ったときの写真です。
この時、この山の向こう側の遥かかなたの国・インドから取り寄せるなんて夢にも思っていませんでした。
最後に・・・
元々のネパールのよもぎ精油はついに5月末まで届かず、ものづくりチーム内では、「来る、来る、詐欺」にあってしまったねって笑って言えるようになりました。
内藤
商品チーム
あきゅの美養品の中で一番のお気に入りは「優すくらぶ」季節や気分に合わせて香りを使い分けています。/趣味は「工場見学」。まだまだのびしろがあると信じて止まない50代。