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Vol.85 薬は正しく

湯 忠立先生

2015/09/16

中国医学の治療原則に「虚者補之」ということがあります。病気は体内の陰陽のバランスが崩れることが原因だと考えますので、不足しているものを補ってバランスを整えることによって健康を回復させるのです。薬膳や漢方薬の多くは、この理論を基礎に組み立てられているといってよいでしょう。

でも実際にバランスが崩れるのは、何かが不足している時だけでなく、何かが余分になっていることが原因の時もあります。そんな人が、どんどん「補って」いったらどうなるでしょう? ますますバランスが崩れて、症状が悪化してしまいます。

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また「虚」の状態、つまり何が不足しているかによって、何を補うかも当然違ってきます。中国医学では、虚を陰虚、陽虚、気虚、血虚の4つに分類していますが、当然その対応法も異なります。これを間違えると、良い効果が得られないだけでなく、病気を更に酷くしてしまうことにもなります。薬は正しく使ってこそ、その効果が得られるのです。

また「医食同源」というように、薬はもちろんですが毎日の食事も「何を補うのか」ということに注意を払うのは大切なことです。
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。