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Vol.212 春は酸

湯 忠立先生

2018/04/25

五行学説では味覚も5つに分類していますが、「木」「春」「肝」と同じジャンルに入るのは「酸」で、酸っぱい味には、収斂作用といって、ものごとを収めたり固めたりする働きがあるとされています。具体的には血管や皮膚、筋肉を引き締めるので、気・血・津液が漏れ出ないように抑え、粘膜の保護や多汗・寝汗・下痢・頻尿などに効果があると考えられています。

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春は「肝」の季節で「酸」が対応しているなら、酸っぱいものをたくさん食べれば良いと思われるかもしれませんが、そうはいきません。というのは、酸味が多すぎると収斂しすぎるための弊害が出てくることがあるからです。『黄帝内経』には「多く酸を食すと筋肉が委縮する」と書かれています。酢は体を柔らかくするといわれますが、摂りすぎると逆効果だということが2千年前の医学書に既に指摘されているのです。
 
こうした味覚の偏りを調整する理論もあって、酸には甘が良いとされます。酢のものに砂糖や蜂蜜を加えると、強い酸味の刺激が中和され、味に丸みが出てきますね。これなども薬膳理論に叶ったものといえるのです。
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。