あきゅらいず

Vol.62 羊肉

湯 忠立先生

2015/03/25

日本では今ひとつ馴染みが薄いようですが、羊が食用として家畜化されたのは紀元前8000年頃(!)といわれています。
ということは、人類が羊肉を食料としたのは一万年以上前ということになりますね。
 
中国では古くからその効能が注目されていて、唐の時代の「金匱(きんきょう)要略(ようりゃく)」という医学書に、羊肉を使った薬膳の記載があります。
その中の「当帰生姜羊肉(ヤンロウ)湯(タン)」は食事療法の薬膳として現在でも使われています。
 
羊肉の脂肪分は体内で溶けにくく吸収されにくい性質をもっています。
コレステロール値も魚肉なみに低いので、ダイエットに最適ということになります。

また、体内の脂肪を燃焼させてエネルギーに変える働きのあるカルチニンの含有量が格段に多いことが近年話題になっています。
現代医学の研究により、羊肉を煮込んだスープは血液の循環を良くする働きがあることも分かりました。

特に末梢の毛細血管の血液の流れを良くしますので、日本の方に多くみられる冷え性などに効果があります。
いわゆる現代病に対しても予防や症状を改善する作用があります。

産後などの体力不足の食事療法としては、羊肉の鍋料理にナツメ・生姜・エビなどを加えると体力の回復を早める効果があります。
羊肉独特の臭みを取るには、クルミやニンジンを使うと良いといわれています。

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。