その昔、中国の宮廷の貴族たちは「処暑払い」として、蓮の葉に酒を注ぎ、茎を通してその酒を飲んで楽しみ、暑さを和らげていました。大きな蓮の葉と長い茎が、象の鼻のようだったので「象鼻杯(ぞうびはい)」と呼ばれる習俗となり、この行事は日本にも伝わって、今でも各地で催されているようです。
因みに、蓮の花は濁った沼地でも美しい花を咲かせるので、古くから特別の印象を与える存在だったようです。多くの仏像が蓮の花を台座にしているのは、穢れた娑婆(現実世界)と清らかな極楽(仏の世界)の対比を象徴しています。
また蓮は根から花まで、全てが薬用や食用に使われています。根はお馴染のレンコン、蓮の実は薬膳でよく使われていますね。そして蓮の葉は、ご飯を包んで蒸し焼きにしたり、薬用としては解熱効果があるとされています。蓮の葉で暑さを払うというのも、理由がないわけではないのですね。
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