あきゅらいず

Vol.100 小寒

湯 忠立先生

2016/01/ 6

年が明けて1月5~7日、24節気では小寒を迎えます。
1年で最も寒い時期の始まりを告げる日です。

五行の考え方では、この時季、土気が盛んになり腎気が弱まるとしています。
心・肺の活動を助けて腎臓の働きを調えるようにすることが大切です。

また寒さが強まるため、関節痛や心脳血管の病気に罹りやすくなります。
体を冷やさないように、保温を心がけるようにしましょう。
特に肩や首、脚など寒気の影響を受けやすい部分を冷やさないようにすることが大切です。

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体内で寒気の影響を最も受けやすいのは胃といえます。
生ものや冷たいものは直接、胃を冷やし、食欲不振や抵抗力の低下につながります。
同様に刺激が強い辛いものも胃の活動に悪影響を与え、胃炎などの原因となってしまいます。

食養生の考え方では「減甘増苦」つまり、甘いものを少なくして苦いものを摂るようにする。
ただし、あまり偏りすぎないように注意しなければなりません。

胃を温める作用のある食材としては、粟、もち米、羊肉、生姜、黒豆、ナツメなどがあります。また胃酸過多の時はニラ、ジャガイモ、豆類などは控えるようにします。

胃の働きを助けるのは食物だけではありません。規則正しい食生活は、胃の活動を調えやすくします。どうしても1日3回の適正な食事がとれない場合は、1日5~6回に分けて、少しずつ食べるようにするのも、胃の働きを保護するのに役立つでしょう。
 
また適度な運動も胃の気を養うのに効果があります。しっかり準備運動をして、体が温まってから適度な運動をします。
大汗をかく必要はありません。運動後は体が冷えないように着替えも忘れないようにします。

小寒の養生は、胃の保護が最重要なのですが、もちろん一朝一夕でできるものではありません。
胃はストレスなど精神的な刺激も受けやすいので、以上のことを念頭に入れ、日々の積み重ねを大事にして、寒い冬を乗り切ってください。

  

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。