あきゅらいず

Vol.109食べたあとは

湯 忠立先生

2016/03/ 9

私たちは食べたものをエネルギーにして日々の生活をしていますね。
それでは、必要な栄養さえ食べていれば毎日、元気に健康で暮らしていられるのでしょうか?
 
実は、ただ食べただけでは本当にそれが役立っていることにはなりません。

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中国医学では、食べたものは脾と胃の働きによって消化吸収され、心と肺の協力のもと全身に送られて、そこで初めて様々な役割を果たすとしています。

つまり食べた後、それがどう処理されるかが重要だと考えているのです。

こうした一連の活動は五臓全てが関係しています。
脾の活動の動力源を提供しているのは心臓の働きによるものですし、その活動の元となっている「気」は肺によってコントロールされています。
また肝臓は直接、脾や胃の活動を調整しています。

そして腎臓は消化吸収の過程で出た余分な水分を排出して全体の活動バランスを整えます。
こうした一連の流れがどこかで滞ると、せっかく食べたものも私たちの体に役立つものとならなくなってしまうのです。
   
ですから本当の意味で「食べる」ということは、食べ物を口に入れるだけでなく、からだ全体の活動といえます。
「何を食べるか」より「どう食べるか」を重要視している薬膳の理論は、こうした考えの上に成り立っているのです。

 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。