Vol.157 ゆで卵から雛は生まれない

湯 忠立先生

2017/03/15

卵は、必須アミノ酸の全てが理想的な割合で含まれている栄養価の高い食品です。それでは生卵とゆで卵、どちらを食べたらより良いのでしょうか? 確かに、熱に弱いビタミンB群などは、加熱することで若干少なくなりますが、相対的に見てその栄養価はほとんど変わりません。でも、生卵とゆで卵は全く違うものですよね。その違いは何なのでしょう。

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これは、「蛋白質の変性」というもので、蛋白質の化学的な組成は何も変わっていなくても、生物学的には全く違ったものになって元に戻らない状態のことです。分かりやすい例を挙げると、ガラスのコップを落として壊したとき、コップの化学的な成分には何の変化もありませんが、もう水を入れて使うことはできませんね。化学的な成分は同じでも、全く別のものになってしまうのです。
 
私たちの体を作っている蛋白質も同じです。化学的には同じものであっても、その形が違ってしまうと本来の機能を失ってしまいます。例えばアルツハイマー病は、脳の神経細胞に変性蛋白質が蓄積することによって引き起こされるといわれています。
この蛋白質の変性は、熱やPH(酸・アルカリ)の変化などによって引き起こされます。人体の場合、42℃以上で熱変性が始まるといわれ、石鹸やリンスなどに含まれる界面活性剤も皮膚の蛋白質を変性させる原因になることがあります。
 
一度変わってしまうと元に戻れない蛋白質。ゆで卵から雛が生まれることは絶対にないという理由もご理解いただけたと思います。
 

※記事の無断転用は禁じます。

この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。

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