中医食療学(薬膳の正式な学名)の基本の一つに、「第一に脾胃を調える」ということがあります。
脾胃というのは消化吸収の働き全体と考えて良いでしょう。
薬膳はもちろん食事なのですから、消化吸収が大事というのは当たり前といえるのですが、
はたして皆さんは食事をするとき「脾胃を調える」ことを第一と考えているでしょうか?
一つ例を挙げてみましょう。
例えば病院で貧血症と診断されたとき、多くの人は鉄分をできるだけ摂ろうとして、レバーやホウレン草などをいつも以上に食べるでしょう。
あるいは鉄分のサプリメントをセッセと飲むかもしれませんね。
でもそれで貧血症は改善されるでしょうか?
私の知る限り、その方法で良くなった人は皆無といって良いでしょう。
なぜでしょうか?
食物は、食べればそれが全て栄養になるわけではありません。
食べたものがシッカリ消化吸収され、体内の必要なところに届けられて初めて、その効果が期待できます。
どれだけ食べても、それが身にならなければ、結局のところ食べないのと同じです。
それどころか、役に立たなければ、それを捨てる処理をしなければなりません。
その分、余計な負担がかかってしまいます。
もうお分かりですね!
どんなに鉄分を摂っても貧血症が改善されないのは、それがちゃんと消化吸収されていないからです。
現在の日本は食が豊かで、おそらく栄養不足の人はいないと思います。
それでも貧血症やカルシウム不足などが頻繁に話題に上るのは、「脾胃」に問題があるからといえます。
「第一に脾胃を調える」という薬膳の基本は、まさに理にかなっていますね。
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