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Vol.22 まずは消化吸収

湯 忠立先生

2014/06/ 6

中医食療学(薬膳の正式な学名)の基本の一つに、「第一に脾胃を調える」ということがあります。

脾胃というのは消化吸収の働き全体と考えて良いでしょう。

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薬膳はもちろん食事なのですから、消化吸収が大事というのは当たり前といえるのですが、
はたして皆さんは食事をするとき「脾胃を調える」ことを第一と考えているでしょうか?
 
一つ例を挙げてみましょう。

例えば病院で貧血症と診断されたとき、多くの人は鉄分をできるだけ摂ろうとして、レバーやホウレン草などをいつも以上に食べるでしょう。
あるいは鉄分のサプリメントをセッセと飲むかもしれませんね。
でもそれで貧血症は改善されるでしょうか? 

私の知る限り、その方法で良くなった人は皆無といって良いでしょう。
なぜでしょうか? 
 
食物は、食べればそれが全て栄養になるわけではありません。
食べたものがシッカリ消化吸収され、体内の必要なところに届けられて初めて、その効果が期待できます。

どれだけ食べても、それが身にならなければ、結局のところ食べないのと同じです。
それどころか、役に立たなければ、それを捨てる処理をしなければなりません。
その分、余計な負担がかかってしまいます。

もうお分かりですね!
どんなに鉄分を摂っても貧血症が改善されないのは、それがちゃんと消化吸収されていないからです。

現在の日本は食が豊かで、おそらく栄養不足の人はいないと思います。
それでも貧血症やカルシウム不足などが頻繁に話題に上るのは、「脾胃」に問題があるからといえます。

「第一に脾胃を調える」という薬膳の基本は、まさに理にかなっていますね。


 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。