あきゅらいず

Vol.75 冬病夏治

湯 忠立先生

2015/07/ 8

お灸は夏にするのが一番、といわれます。
これは中国医学の「冬病夏治」という考え方に基づいているんです。

冬に症状が出やすい喘息や気管支炎、関節痛、慢性の下痢、また風邪をひきやすいという体質の改善は、夏の治療が効果的だということです。

冬は寒冷の季節で陰気が強い時期ですから、体内の陽気が不足している人は、冬になると外からの寒さと体内の冷えが合わさって症状が出やすくなります。

夏は自然界にある陽気が上昇し、強くなって発散する時期なので、この時期に体内の陽気を充分に補充しておけば、体内の寒の邪気を追い出して、冬に繰り返し発症する病気を抑えることができるのです。
 
一年で最も陽気が盛んになる夏は、皮膚の肌理も緩むので、経穴(ツボ)から薬効も入りやすく、全身に陽気を充実させて病気に対する抵抗力を高めることができます。

ですから夏のお灸は特に効果があるというわけです。

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夏に充分陽気を蓄えておけば、陰気が盛んになる冬になっても正気(人間の持つ生命力)が衰えず、病気にも罹りにくくなります。「冬対策は夏に始める」ことが大事だということをお忘れなく!

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。