あきゅらいず

Vol.29 使ったあとは・・・

湯 忠立先生

2014/07/23

食べたものは同化作用によって私たちの体に取り込まれて活用されますが、
その後はどうなるんでしょう?

何でもそうですが、お役目が終わったものは最終的にゴミとして処分しなければなりませんね。
食べたものも同じです。

必要な栄養素を使い切った後は、体の外に放出しなければなりません。
この働きを異化作用と呼んでいます。

中医学では、食物の栄養素を取り込む同化作用と合わせて、異化作用も「気」の働きの一つと考えています。
 
具体的には、大小便や汗として排泄するわけですが、ここでも肺や腎臓、大腸などが力を合わせて働きます。

もし異化作用の流れがうまくいかないと、老廃物が体内にドンドン溜まっていくことになり、遂には不要なものがあふれている『ゴミ屋敷』のようになってしまいます。

これがさまざまな病気の原因となることは、簡単に理解できるでしょう。

実のところ、現在の日本では『何を食べるか』より『何を食べないか』ということの方が大きな問題といえます。
食べたいものが何でも手に入る環境の中で、さらに「身体に良いものをもっと食べたい」と思っている人が如何に多いか・・・・
ノーノー!食べれば食べるだけゴミを増やしているようなものです。(ガーン)
 
これは食習慣全体の問題といえますが、薬膳では、同化作用と異化作用を一つのものとして考えて、どんなものを食べれば良いかというだけでなく、上手に排泄されるように食材を組み合わせたり、調理法を工夫しています。

一つ例を挙げると、生姜は身体を温める働きや発散作用がありますが、軽く炒めると脾の働きを活発にして下痢を抑え、よく炒めると体内の老廃物を
流しだす作用があります。

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こうした使い分けも薬膳の面白いところですね。  
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。