中医養生学の基本原則の第一に挙げられているのが、「自然の規律に応じる」ということです。これは、私たち人間は様々な臓器や器官が有機的につながった一つの総合体であると同時に、自然界という更に大きな有機的総合体の一部であるという考え方が基になっています。ここで重要なのは、全ての存在が有機的につながっているということです。私たちは誰一人として、他からの影響を受けずに生きていくことはできません。そしてそれに応じる力を持っているからこそ有機的につながることができるのです。
自然界の変化、つまり自然界の陰陽消長に応じて、自分の生活を調整することで、自然界と有機的につながり、調和を保つことができます。暑いときは暑さを、寒いときは寒さを受け入れて、自分自身を適応させていくことで、自然界という大きな有機的総合体の中で、違和感なく過ごすことができるのです。そのためには、常に自然界の微妙な変化を感じ取るようにしなければなりません。まだ冷たい空気の中で小さな蕾を膨らませつつある木の芽、淡い緑から次第に色濃くなっていく若葉、真夏の木陰に吹くそよ風・・・。こうした一つひとつを身体で味わうことは、人生の楽しみでもあるといえるでしょう。
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