あきゅらいず

Vol.158 中国医学の知恵

湯 忠立先生

2017/03/22

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「○○病撲滅作戦」・・・そんなキャンペーンを至る所で見かけますね。現代の医学は憎い敵である病気を根絶しようと、さまざまな研究を重ねて、それなりの結果を出してきました。でもそれで私たち人間は、不老不死の身体を手に入れたわけではありません。確かに、ある病気は治療法が開発されて、その病気で命を失うことはなくなったかもしれません。しかし私たちは、生まれてきた以上、だんだん年を取り、やがて病気になって、いずれ旅立っていく。これは100%、誰もが歩まなければならない道なのです。ではその現実とどう向き合ったらよいのか・・・。
 
中国医学では病気に対して、現代医学とは違った対応をしています。それは、老・病・死という現実を避けるのではなく、その現実の中でいかに充実した歩みを進めるか、そのためにどうしたら良いかを考えます。病気というものを、私たちの健全な歩みを阻害するものとしてとらえ、その予防法や回避法を生み出してきたのです。逃れられない現実から目を背けるのでなく、その現実の中でより良く過ごすための知恵、それが中国医学といえるのです。
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。