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Vol.35 五臓(ごぞう)は臓器じゃない。

湯 忠立先生

2014/09/ 3

中医学の五行(ごぎょう)理論(りろん)については前にも書きましたが、私たちの体も大きく五つの系統に分けることができます。
 
【Vol.20】五行の考え方
http://mag.akyrise.jp/yakuzen_column/2014/05/vol2-1.html

そしてそれぞれの中心となるのが、肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)の五臓です。

ですから中医学では五臓は単に臓器そのものを指すのでなく、その系統全体との関係も含めて考えているところに大きな特徴があるんです。

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例えば「心(しん)」は心臓そのものというより、その機能を含めた働き全体としてとらえますので、血液の循環などはもちろん、精神や意識、思考力とも深く関係していると考えています。

日本語にも「心が踊る」とか、「心が痛む」「心が通う」「心が晴れる」「心が乱れる」「心に響く」「心を開く」などなど、「心(こころ)」を精神活動の中心とした言葉が数多くありますね。

中医学では、これらすべてを「心(しん)」の機能としているんです。
 
他にも「脾(ひ)」は消化吸収に関することすべて、「肺(はい)」は呼吸に関することや気・水分の運行の機能、「肝(かん)」は消化を助けるほか、気の運行の調整、「腎(じん)」は精気(生命エネルギー)の貯蔵の機能があると考えています。
 
こうした考え方は、私たちの体が有機的な統一体であるという「整体(せいたい)観念(かんねん)」に基づいています。
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。