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Vol.134五臓と六腑

湯 忠立先生

2016/09/28

五臓六腑という言葉をきいたことがあるでしょう。

五臓とは心・肺・脾・肝・腎の臓器、六腑は小腸・大腸・胃・胆のう・膀胱の器官に三焦を加えたものです。
三焦は特定の器官ではなく、現代医学のリンパ系のようなものと考えて良いでしょう。
 
五臓と六腑の大きな違いは、その働きにあります。

五臓の特徴はその名の通り"貯蔵"することにあり、中国医学でいう気・血・津液や精気を蓄えて人体の生理活動の中心的な役割を果たしています。
六腑は通路のようなもので、飲食物の消化・吸収・輸送・排泄の役目を担っています。
この両者の協力によって体内の活動は維持されているのです。
 
中国医学では、長い間の臨床実践の積み重ねから、この両者の協力関係を明らかにしてきました。
心=小腸、肺=大腸、脾=胃、肝=胆のう、腎=膀胱は特に深い関係があることが分かったのです。
さらに五行学説を応用すると、全身は5つの系統に分けられ、それぞれの関係性も体系化することができました。

これを使えば、健康維持や病気の予防に役立てることができます。

例えば、胃腸の調子が悪いというとき、ストレスが溜まっているのが原因ということがあります。
これは、肝の気が盛んになりすぎると脾の働きを弱めるからです。

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様々な状況の中で、どんな食材を組み合わせれば互いの協力関係が良くなるかを追究してきたのが、本来の薬膳といえるのです。

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。