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Vol.195 火鍋 1

湯 忠立先生

2017/12/27

最近では日本でも火鍋をメニューに入れている店が増えているようですね。火鍋は、中国では長い歴史を持ち、各地でさまざまに発展した独特の料理です。古くは「古董(グウトン)羹」とも呼ばれていました。煮たったスープに食材を入れたときの「ゴトゴト」という音から名づけられたのでしょう。音から受けた印象が料理名になったのですね。鍋に食材を入れて煮る食べ方から「中国のしゃぶしゃぶ」と呼ばれることもあるようですが、北京のシュワンヤンロウという羊肉の火鍋が京都に伝わったのが日本のしゃぶしゃぶのルーツのようです。こちらも音からの発想でしょうね。

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火鍋が何時ごろできたのか、はっきりしたことは分かっていません。ただ中国の食文化の歴史を見ると、おおよそ3千年くらい前に発明された「鼎」という食器と関係があると考えられます。これは鉄製の大鍋で3本か4本の足で支えられています。当時は祭祀において、牛や羊の肉をその中で煮て神にささげた後、皆で分け合って食べたのでしょう。これが火鍋の最も古い形といえます。
火鍋が最も盛んだったのは清の時代です。『清代档案史料叢編』に「千叟宴」の記録が記載されています。これは1796年に宮中で催された宴で、用意された火鍋は1550以上、集まった人は5000人以上という前例のない大規模な「火鍋宴」だったということです。
 

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この記事の投稿者

薬膳監修:湯 忠立(たん ぞんり)先生

中国遼寧中医学院大学付属病院の院長を務め、現在は東京・吉祥寺で中国医学整体院を営む。