タマネギの原産地はよく分かっていませんが、古代エジプトでピラミッドの建設に携わる人たちが好んで食べていたという記録もあるので、古くから滋養強壮の効果があることが知られていたことが分かります。
その強い効能のため、当時の人たちはタマネギには不思議な魔力があると信じられていたようです。古代エジプトではミイラを作るとき、目のくぼんだ場所へタマネギを入れたり、手に持たせたりする習慣がありました。タマネギの力で永遠の生命を手に入れようと願ったのでしょう。
こうした風習は古代ギリシャやローマの戦士たちにも受け継がれ、活力増強の食べ物としてだけでなく、魔除けの飾りとして甲冑につけていました。そして中世にはそれが一般の家庭にも広がって、家の魔除けとして軒先に吊るされるようになりました。タマネギは悪霊だけでなく、病気や不幸も追い払うことが出来ると信じられ、コレラが流行したときには爆発的に売れたとのことです。(今では科学的にその効果はないと証明されています)
タマネギの持つ魔力というのは古代の人の幻想ですが、縦に切ったときの断面が規則正しく同心円状に並んでいる様子は、何か神秘的な感じがしないでもないですね。
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