精神や情緒の状態が身体的な面に大きく影響しているということは、現代医学でも近年になって注目されていますが、中国医学では古くから、身体と心は密接に繋がっていると考えていました。
その中でも特に重要な働きをしているのが「肝」です。肝は「将軍の官」とも呼ばれ「謀慮これより出ず」と表現されています。つまり肝は、将軍が外敵を防ぐように、病気にならないように思慮しているという意味です。外敵から身を守る(病気にならない)ためには、深く考え、決断しなければなりません。もし将軍が優柔不断で決断できなければ敵に攻め込まれてしまいます。また無鉄砲に暴れるだけでは結局国を亡ぼすことになってしまうでしょう。的確な状況判断と決断力が、有能な将軍には必要なことです。こうした働きを体内では肝が担っているのです。「肝っ玉」という言葉がありますが、肝は体内の将軍として、精神活動と深く関係しているといえるのです。
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