中医薬膳学も中国医学を基礎としていますので、食事を通して免疫力を高めるには陰陽バランスを調えるということが最も重要になります。何故、食事によってこうしたことができるのかというと、食材は一つひとつ独自の性質を持っているので、これを上手く利用すれば良いということなのです。
中医薬膳学では食材の栄養素より、その働きに注目します。今では科学技術が発達して食材に含まれる栄養素の分析も細かくできるようになりましたが、2千年以上前、薬膳の基礎理論ができたころは一つひとつの食材を丹念に調べ、どんな性質で、どんな効果があるかを確かめながら、一つの体系を作り上げました。例えば、キュウリは誰が食べても体内の熱を冷ます作用があるということが分かると「寒」の食材であるとし、唐辛子のように身体を温める効果があると「熱」の食材だと分類したのです。全ての食材は「寒」・「涼(寒の程度の低いもの)」・「熱」・「温(熱の程度の低いもの)」、そして寒熱の中間にある「平」のいずれかに分類できます。これを食材の「四気」と呼んでいます。
前に中国医学では、陽=気=熱、陰=血・津液=寒と分類しているとお話ししましたが、陽気が不足して相対的に陰(寒)が強くなった「虚寒証」には「熱」の食材、陰液が不足して相対的に陽(熱)が強くなった「虚熱証」には「寒」の食材と使い分けることで、陰陽のバランスを調えることができます。
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