復興視察1日目3/3:エイブル・アート・カンパニーさんから、東北の現状について聞く

トミー

2014/05/28

社長室のトミーです。
2014年4月23~24日、お客さまが弊社のお買い物で貯めたポイントを寄付してくださって設立された「ポイント募金」のより良い使い方を考えるために、制作スタッフのミッキーと東北へ向かいました。
2日間だけだったので、ほんの一部ではありますが、今被災地の方々がどのように暮らして復興しているのかを多くの方々に教えていただきました。
素敵なイベント情報や心のこもった手作り品にも出会いました。ぜひ全国の方に知っていただきたいので、下記の通り数回に分けてレポートさせていただきます。

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今回は、エイブル・アート・カンパニー東北現地事務局の武田さんとの会合です。エイブル・アート・カンパニーは、障害のある人がアートを仕事にできる環境をつくることを目的にしている団体さんです。「社会の芸術化、芸術の社会化」をキーワードに活動しているNPO法人エイブル・アート・ジャパン、財団法人たんぽぽの家NPO法人まるの三団体が協力して運営しています。
 
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上の写真の女性がエイブル・アート・カンパニーの武田さん。人当たりの柔らかさと深い洞察力で現場に溶け込んでいらっしゃり、貴重なアドバイスをたくさんいただきました。

前回のレポートで取り上げさせていただいた「被災障害者就労支援事業所連絡会議」をご紹介くださった方が武田さんです。
 
お話しをうかがった場所は、仙台駅付近の郷土料理を出す居酒屋さん。武田さんは山形県の東北芸術工科大学のご出身で芸術にも理解が深く、震災後に仙台に移り住んで東北の支援窓口をお一人で務めていらっしゃいます。エイブル・アート・ジャパンとカンパニーは現在、「GoodJob! 東北プロジェクト」などを通じて東北の福祉作業所をデザインの力で支える活動をなさっています。
IMG_20140423_204505.jpg※お話しを聞いた居酒屋さんで出された、東北のお野菜がたっぷりのサラダ
 私もあきゅらいずのお仕事を通じて障がいを持った方のアートに触れてつくづく思い知りましたが、草間彌生さんのような、凡人には真似できない突き抜けた天性のアートセンスをお持ちの方も多いです。しかし下請け工場的な作業に徹している福祉事業所では、1か月のお給料が1万円ほどのお給与が事業利用者に支払われないのが現状だそうです。エイブル・アートさんは東北に限らず、それら障がい者のアートをデザインとして起用してくれる企業と当事者の橋渡しをしたり、福祉作業所さんにデザイナーを紹介して付加価値の高い商品企画作りを支えたりしています。他にも、全国でセミナーを開催したり、展覧会やワークショップなどのイベントも多く開いています。

消耗品や機材などの物質的支援はそれほど必要とされない段階に来ていること、一般企業と同じく安定した販売先が必要とされていること、お客さまからの反応など人と人とのつながりを欲しがっていたこと、などについて武田さんと三人で感想を話し合いました。
 
私たちの見立てに間違いはないようだったのですが、武田さんに気づかされたもうひとつ大切なことは被災者のケアをする側の方々(ケアテーカー)のケアの大切さです。「人と人とのつながりを求めている」というのも、自分のことは後回しにして、まだ傷ついたり弱い立場に置かれている方々の支援をしているケアテーカーの方々の強い気持ちだと思います。なりふりかまわず前に進む時期が終わって、少し周囲の状況や未来について見渡せる状況になった今だからこそ、この先も進み続けていくための心の支えが欲しい。ちょうど子育てが一段落したお母さんの気持ちと似ているのかな、と思いました。
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※仙台市の「多夢多夢舎 中山工房」と一緒に取り組んだ手ぬぐいの展示会で
仙台市の老舗工場×障がい者アート×デザインの素晴らしい事例です。
 商品自体の質が良くてもラッピングのリボン一つで印象が損なわれたりことは雑貨製品では多々あり、福祉作業所をデザイナーさんや企業と引き合わせてコラボさせることで付加価値の高い商品を企画したり、既製品をリデザインして生まれ変わらせることができるそうです。やはり本来なら福祉員である福祉作業所さんの職員さんが商品企画から製造、販売までやって「売れる商品」を作り上げるのはなかなか困難なので、武田さんのような、アート・マネージメントあるいはコーディネーター的な役割が企業との橋渡しをするうえで重要になってきます。

東北の福祉作業場さんの間でも外部の協力をうまく得て人目をひくホームページやオンラインショッピングのシステムが導入されているところと、ネット接続すらままならない環境に置かれているとことなど差があります。もちろん法人や個人からの注文を受け付けて自力で伸びていく可能性が高く、寄付や支援が将来にも生かされる可能性が高いのは前者です。ただ、自力で社会に情報発信するまでたどり着けていない団体にこそ援助が必要と言う見方もあります。自分たちで既に情報発信できるところは、他の個人や団体からの援助や注文も受けやすいのです。
 
こうなってくると、「そもそも寄付って何の目的ためのお金?」という根本のお話しになってきます。正しい答えはないのですが、その代わりに間違った答えや使い方もない、という結論に私は武田さんと話しながら達して少し気が楽になりました。
 
もちろん使い捨てではなく少しでも生きるお金の使い方を、とは思いますが今回の旅で気づかされた「自立に向かう手助け」さえ外さなければきっと誰かの明日の一歩には役立つはず。
 
IMG_20140423_223632.jpg※東北名物のすんだ餅です。桜の花びらにあしらったユリ根がかわいらしかったです。
内容の濃い第一日目は無事に終わりました。
明日は朝5時に起きて岩手県の陸前高田市に向かって出発です。
 
旅のニ日目からは、相棒のミッキーにバトンタッチします。
 

この記事の投稿者

トミー

サービス研究所

泡石と「たまりシャンプー」が好きです。どちらも、泡立てがうまくいくと満足を感じます。/基本、ボヘミアン。久々の帰国で「浦島太郎を通り越して、もはや宇宙人」(知人評)。地球人に進化するために、ちょこちょこ観光にでかけては経験値を上げています。

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