今井 全部お話聞いて、ちゃんと勉強して、「先日おっしゃったのはこういうことですよね?」ってお話しして、やーっと関係が作れて、それで、やーっと、よもぎの精油が買えるようになったんです。半年間かかって、とーっても大変な交渉でした。
とっても大変そう!だった開発当時を振り返る今井
◆ネパールの「よもぎ」と「ハッカ」に辿り着く。
今井 でも、2年目はよもぎをやめようと思ったんです。「いい香りだけど、もっとスッキリすると思った」っていうお声が多くて、ならば、もっとスッキリした香りを探そう!と。
内藤 えーっ!好評だったのに、そのまま行かずに、もっとスッキリって?それで、ハッカを探す旅に出た?
今井 最初は、メリッサ(レモンバームの別称)にしようと思ったんです。フランス南部の小さな村に友達がいて、夏休みに遊びに行ったんですけど、家の周りの野原にメリッサがいっぱい生えてて、感動的なほどいい香りだった。それで、帰ってから精油を探して「たまりシャンプー」に混ぜてみた。いい香りだったんだけど、なんというか、どうもしっくり来なくて、却下。
市原 ハッカの前に「幻のメリッサ」があったんですね!、、、で?
今井 他に何かないかな?って、精油を探したり、自分たちで抽出してみたり。フラスコとかチューブとか、あきゅにまだ残ってるかな?自分たちで精油を自家生産したらどうかっていう話も出たりして。
一同 へぇ〜っ、それはすごい!
今井 でも、なんか、ポタ……、ポタ……、みたいな。あんまり採れないなって。こんなことしてたら「香風」どんな値段になっちゃうんだろう?とか、毎日いろいろ悩みました。
市原 そのとき、そんな実験施設とか、あったんですか?
今井 ないです。休憩室でやってたんですよ!自作の抽出機で、あきゅの玄関に植えてあるローズマリーを採って来て抽出したら、休憩室がすっかり臭くなっちゃって!そのことを覚えている方は、たぶん私のことキライだと思います。臭いからキライ(笑)。
一同 爆笑
内藤 まだ「もりたまラボ(あきゅらいず社内の研究室)」がなかったからね(笑)。
市原 それで、どんなふうにハッカに辿り着いたんですか?
内藤 「優すくらぶ」でハッカを使ってたから?
今井 はい、いろいろやった末に、頭を冷やして、もっとシンプルに考えてみようと思って。スッキリだからハッカ!ということで、前の年に作ったよもぎの香りの「香風」に入れてみた。そうしたら、これがなかなか良かったんです!
篠塚 なんでネパール産なんですか?やっぱり、原料の産地を揃えた方がいいっていうこと?
今井 それもあるけど、ネパールに行って生産者の人たちに会ったとき、原料の草を摘んでいる女性から「女性や子どもたちの貴重な収入源になる」って聞いたんです。子どもたちは学校帰りに草を摘んで、それが学費の足しにもなっているって。その女性たちや子どもたちの収入が増えたらいいなって思ったんです。
市原 2010年のことですね?なんでネパールに行くことになったんですか?
今井 「行きたい」って言いました。
内藤 Kさんに、行きたいっ!て相談したんだよね?
今井 そうなんです。そうしたら全部手配してくれて。Kさんはもともと旅行代理店にお勤めで、いろんな国に行って、いろんな精油を集めて来て、それで精油輸入会社を作ったんです。
「ドタバタのバトンタッチで引き継いだ」2代目担当・内藤
◆「数量限定」と闘いながら、「香風(しゃんぷー)」は育ちました。
内藤 2012年に、3年目の「香風」を販売している途中で、のりちゃん(今井)から私が引き継いだんだよね。香りのサンプルしおりを配ったら、あっという間に売り切れちゃって、買えないお客様が続出。サンプルまで配ったのに、なんで商品がないんだ!っていうタイミングでバトンタッチ(笑)。
市原 数量限定って、ほんとに難しいですよね。
内藤 そう、それで2013年は数を増やすことにした。それが9月くらいで、もう翌年の準備を始めなければならないタイミング。Kさんに相談したら、今までの倍の量だから、「それはちょっと(渋)」という話になって、その量のよもぎとハッカを手に入れるのに、もう、悪戦苦闘(笑)。
今井 ……でしょうね。だって、はじめの数リットルでも大変だったから。
内藤 もっと早く言ってくれたらなんとかなります、っていうことで、それ以降、発注期限が定まった。
内藤 で、2013年には処方変更もしたっけ。
篠塚 (ボトルの成分表示を指差して)このあたりの成分がシンプルになったっていう話を聞きましたけど。
内藤 それまでは数種類の保湿成分を配合してたんだけど、「草根木皮(そうこんもくひ)たまり」はすごい原料だっていう評価を聞いてて、だったら、その良さを活かさなきゃって、「草根木皮たまり」に特化したシンプル処方にしたの。
今井 素晴らしい!
内藤 のりちゃんも言ってたよね?そういうメモが、あちこちに残ってた(笑)。「できるかどうかやってみよう!」って、「草根木皮たまり」と精油と、最低限シャンプーとして成り立つための成分だけ残して、あとは全部抜いてみようっていうことになった。で、試作してみたら、みんな「ぜんぜん問題ない」って言う。変わったことさえ気づかなかったりして(笑)。それで、スッキリいい香りのまま、泡立ちも良く、泡切れも良く、っていうシャンプーができた。
今井 夢のシャンプーですね!
2013年、納得できる「香風」ができました!
§ § §
手探りで始まった「香風」づくり。初代開発者の今井から二代目・内藤へ、思いを受け継ぎながら少しずつ工夫を重ねて、ついに「夢のシャンプー」へ到達。単に原料を配合するだけではない、そこに関わる「人」や、紡ぎ出される「物語」を大切にして、納得できるまでこだわるあきゅスタッフの真面目な姿勢が、(笑)の端々から伝わって来ます。
さて、《後編》では、更なる困難に直面して「香風」の更なる価値を見出すことになった、2014年の出来事から「きのね」に至るまでをお伝えします。お楽しみに!
〈つづく〉
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<ネパール大震災からの復興支援にご協力ください>
精油の生産地ネパールは、2015年4月25日に発生した大地震からの復興の途上にあります。
「香風」の香りのふるさとであるネパールの震災復興と発展のため、昨年に引き続き今年も売上の一部を寄付させていただきます。
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